ページ番号1000737 更新日 令和4年12月1日
不妊の心配をしたり、検査や治療経験のある夫婦の割合は、増加傾向にあります。
不妊の増加原因のひとつとして、妊娠について正しい情報が伝わっていないことが挙げられます。
東京都不妊・不育ホットラインの相談員の方は、不妊に悩む方々の相談に乗っていると「避妊をやめればすぐ」「生理があれば何歳でも」妊娠するのかと思っていた、という声をよく耳にするそうです。
日本で不妊は、カップルの6組に1組が不妊と言われていて、その原因は男女ほぼ半々の状況となっています。
正しい情報が伝わらず、知らなかったことによりチャンスを逃してしまわないために、不妊について知っていただければ幸いです。
不妊は「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、性生活を行っているのにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されています(日本産科婦人科学会編 産婦人科用語集より)。
「一定期間」は世界保健機関(WHO)では2年間としており、日本でもそれにならっていました。一方、妊娠を考える夫婦の年齢が比較的高い米国の生殖医学会では、不妊期間1年以上を不妊と提唱しており、結婚年齢が高くなった日本でも現在は、1年以上妊娠しない場合には不妊と診断し、検査と治療を開始したほうがよいという考え方が一般的になっています。
また、出産経験があるのに2人目以降を妊娠できない場合を「続発性不妊(二人目不妊)」、妊娠はしても流産・死産などを繰り返す場合を「不育症」といいます。
不妊の心配をしたり、検査や治療経験のある夫婦の割合は、増加傾向にあります。不妊を心配したことのある夫婦の割合は、2002年の20.0%から、2010年には27.6%となっています。
また、検査や治療の経験がある(治療中を含む)割合も2002年の12.1%から、2010年には16.5%となりました。様々な状況から、不妊の底辺は広がる兆しを見せているともいわれています。
出典(第14回出生動向基本調査(2010)より(国立社会保障・人口問題研究所)
女性の場合、 妊娠・出産に適した時期は、20代から30代前半と言われていて年齢とともに卵巣機能が低下していきます。
30代半ば以降はっきりと妊娠率は落ち、40代で出産できるのは数%と言われています。
一般的に35歳以上の出産は高齢出産と呼ばれてリスクが高くなります。
男性においても、個人差はありますが年齢の影響を受けています。
まず、「射精ができれば不妊ではない」との認識は誤解です。精液のおよそ99%は精しょうと呼ばれる分泌物で、妊娠に必要な精子は精液中の1%にすぎません。その中で、受精するために必要なだけの精子数が不足していたり(乏精子症)、精子がまったく存在しなければ(無精子症)、不妊の原因になります。加えて精子が卵子に到達する運動能力を備え、正常な形態の精子が多いことも必要です。
年齢とともに、精巣も小さくなり、男性ホルモンをつくる機能も緩やかに低下します。1日あたり、つくられる精子数も、年齢とともに減少します。精液量も年齢に伴って減少するため、精子濃度にはあまり変化はありませんが、精子数が減っていれば、それだけ妊娠の確率は少なくなります。
不妊治療は、産婦人科や男性であれば、泌尿器科で行っています。「不妊治療には莫大な費用がかかる」と思われていますが、医療保険が適応される療法もあります。妊娠の可能性を広げるためには、なるべく早い時期に医療機関に相談することをお勧めします。最近では、不妊専門クリニックも多いので問い合わせてみてください。
特定不妊治療(体外受精・顕微授精)や男性不妊治療(TESE、MESA)は、保険適用にはなりませんが一定の条件を満たせば、東京都の補助(東京都特定不妊治療費助成)を受けることができます。
さらに、東京都の補助を受けられた方のうち、治療費と補助額に応じて武蔵村山市の助成(特定不妊治療費の一部を助成)を受けることができます。
受診するにあたり、パートナーとよく話し合い、受診をするようにしてください。また、基礎体温を測っているならば、基礎体温表を持参すると良いでしょう。一般的な不妊検査や治療に関することをあらかじめ知っておくと、医師の説明の言葉や、内容を理解しやすくなるでしょう。
妊娠をしても、流産や死産、早期新生児死亡などを繰り返し、結果的に子どもを持つことができない場合を「不育症」と呼んでいます。
その原因は様々ですが、検査により流産や死産の原因の特定を行い、適切な治療を受けることで約8割のかたが出産に至ることもわかっています。
まずは専門医へ相談しましょう。
東京都では不育症に悩む夫婦が早期に検査を受け、適切な治療につながることができるよう不育症検査に係る費用の一部助成を行っています。
詳細については、東京都のホームページをご覧ください。
一人で悩まないで、相談できるところがあります。
「なかなか赤ちゃんができない」、 「いつまでこの治療を続ければいいの?」、「流産が続いているけれど、私は不育症かしら?」、「不育症で悩んでいる人はほかにもいるの?」、誰にも相談できず、ひとりで思い悩んでいませんか?周囲の心無い言葉に、傷ついてはいませんか?率直につらい気持ちを不妊・不育ホットラインで話してください。
ここでの電話相談は、ピア・カウンセリングになっています。「ピア」とは『仲間』を意味します。プロではなく「ピア」であるサポーターが、同じ立場の仲間として(不妊を乗り越えた当事者)話し手・聴き手になります。悩んでいる方に寄り添う電話相談をしています。
電話番号: 03-3235-7455
受付時間: 火曜日 午前10時から午後4時まで (祝祭日は休み)
これは女性の健康と人権を守るために、世界女性会議(1995年)で、各国が取り組むべき課題として採択された言葉です。
女性は妊娠・出産に係るからだのしくみをもち、支援が必要な健康課題がたくさんあるからです。また、国の人口政策や周囲の都合が優先され、女性が出産や生き方について自分の意思で決められない国も少なくありません。
リプロダクティブ・ヘルスとは、子供を産むか産まないか、産むとしたらいつ何人産むかを決める権利のことです。それらを女性自身が、自由に、そして責任をもって決めることができる。そのことを保障しているのです。
「産むのが当たり前」とされたり、不妊やその他の理由で産めない立場の人が産むことを強く期待されたり、「子供はまだ?」と干渉されたりするとしたら、リプロダクティブ・ライツが守られているとは言えませんね。様々な生き方や家族のかたちがあります。子供のいる家族だけではなく、シングルの人、夫婦2人の家族、養子を迎えたり、気の合う仲間同士で暮らす家族。みんな大切な、かけがえのない人生です。
このホームページの一部は、東京都の委託により、一般社団法人 日本家族計画協会が作成した冊子(いつか 子供がほしいと思っているあなたへ 実は身近な不妊の話)を基に作成し、作成元に許可を得て転載しています。
子ども家庭部健康推進課母子保健係
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